1/02/2014

トワイライトエクスプレスの旅

小学生のころ、青森県三沢市で一人暮らしをしていた祖母に会うため、
年2回家族で上野発の寝台列車に乗ることを楽しみにしていました。
日本中に新幹線が走り、さらに5000円もあれば駅前に泊まれる時代が来て衰退してしまった日本の寝台列車。
今では定期便は数本だけになったと何かで読みました。数年後には完全に廃止となってしまうとか。
その感動の寝台列車に乗ろうと急に思いたち、
どうせなら日本一の長距離旅客列車である「トワイライトエクスプレスに乗ってみようと、
休暇を取って2013年12月日本の旅を楽しんできました。


トワイライトエクスプレス。なんて快く響く名前でしょう。乗りたいと思い始めたらその気持ちはどんどん膨らんでいきます。
銀河鉄道999に乗るような錯覚にさえなります。
この人気豪華寝台列車の切符は、発売するとすぐに売り切れてしまうそうです。
そこで、日本に住む父に無理を言い、乗車1ヶ月前の日の朝7時に日暮里駅に行って予約してもらいました。
父も乗り物好きで、「息子のためなら喜んで早起きしよう」と言ってくれました。



待ちに待った12月2日が来ました。大阪には不慣れなため、早めにホテルをチェックアウト、
大阪駅には出発2時間近く前に到着。
さすがに早すぎたので、たこ焼きで朝ごはんを取りました。
 大阪駅10番線ホーム午前11時12分、夢にまで見たトワイライトエクスプレスの入線です。
目の前に現れたトワイライトエクスプレス号はとてもレトロな車体で、
35年前に祖母に会うために乗った「はくつる号」や「ゆうづる号」だけでなく、
いつも三沢駅に迎えに来てくれた祖母のことも思い出しました。





これが今回利用するB寝台個室の「シングルツイン」という名の部屋、6号車9番。
JRパスに12300円の寝台料金で利用することができます。追加料金を払えば二人でも利用可能のようです。




午前11時50分、トワイライトエクスプレスは乗客の夢と感動を乗せ、水の都大阪を出発、
北の台地札幌に向けて出発しました。
22時間、1500キロに及ぶ列車の旅の始まりです。
この時山口百恵の「いい日旅立ち」が放送され、乗客の気持ちを盛り上げてくれます。
つぎの京都を出ると、列車はびわ湖畔を北へ。




4号車はサロンカーになっており、誰でも利用可能ですが、いつも乗客でいっぱいで、ついに席が空きませんでした。
シャワールームがあり、これは310円で利用可能です。
タオルを持っていなかったので車内で購入したところ、何と410円もしました。
お湯が出るのは6分間だけなので、1秒も1滴も無駄にできません。




車窓に加賀大観音が現れました。車内からの撮影は難しいものです。


このあたりで気が付いたのが、夕食をどうするか。
事前に予約しておけば12000円でフランス料理を3号車のダイナープレヤデスで食べられますが、
今回は一人旅なので予約しませんでした。
新幹線のように車内販売があるだろうと思い込んでいたからです。
でも一向にお弁当を売りに来ません。車掌さんにたずね、3分間停車する金沢駅で買うこととしました。
同じことを考えた人は多いようで、20人近くが駅ホームの売店を目掛けて走りだしました。
1000円の加賀百万石弁当と1500円の車内で売っているシャンパンで早めの夕食をとりました。




アメリカを発つ前から日本海に沈む夕日が見られるものと期待していたのに、
冬場は夕方5時には暗くなるため、次回のお楽しみとなりました。今は多分、富山あたりでしょうか?



眠くなって横になったとき気が付いたこと。ふだん乗る電車はスーッと走り出してスーッと停車します。
ところが、機関車に牽引されるトワイライトエクスプレスは、駅に着くたびにガッタンと止まって、またガッタンと走り始めます。
寝付いたと思ってもすぐに起きてしまうのです。何回目かに起こされて窓の外を見ると酒田駅
丁度ロサンゼルスで「おしん」が放送されていて、今夢中になって見ているので、
田中裕子演じる「おしん」はこの駅から東京に旅立ったのかと感慨深かったです。
ちなみに出発前に東京で「映画おしん」を観ましたが、原作を超える感動はありませんでした。




乗客が寝ている時間なので車掌さんの放送は無いのですが、ただいま青函トンネルを走行中です。



生まれてはじめての北海道。長万部あたりで明るくなってきました。
高倉健や倍賞千恵子が出てくるような駅、景色ばかりです。
昨夜の食事は駅弁で我慢しましたが、朝食は1500円なので豪華に食堂車を利用しました。
短い時間内にたくさんの乗客を捌かなければならないので、メニューは決められています。
でもこの1500円は安いと思います。




室蘭を過ぎた辺り。奥に見えるのが樽前山。この辺りは競走馬サラブレッドの牧草地として有名です。



千歳空港です。ターミナルビルはテキサス州のダラス・フォートワース国際空港をモデルにして設計され、
美しい外見と優れた機能を持ち合わせています。



大阪駅を出発してから22時間、いよいよ終着札幌駅です。
到着前も「いい日旅立ち」が放送され、また乗りたいという気持ちにさせてくれます。
思えばあっという間の22時間でした。
逆方向も乗りたいですし、北斗星、カシオペア、あけぼのと残り少なくなった他の寝台列車にも乗りたいです。
ところがつい先日、あけぼの号が3月末で廃止されることが決まったというニュースを見ました。
東京青森間がたったの3時間で結ばれるようになったことで利用客が激減してしまったようです。
早くて便利になるのは良いですが、車窓から景色を眺めながらのんびり旅を楽しんだり、
上野発の夜行列車に乗って哀愁漂う田舎の駅舎の改札口で
半年ぶりに祖母に会って懐かしがるようなシーンが減っていってしまうのは、
なんとなく寂しい気がいたします。




最後に、7日間お世話になったJRパスです。JRパスって本当に便利です。最後に、7日間お世話になったJRパスです。
JRパスって本当に便利です。
この後、函館、八戸、三沢(現在は第三セクターの青い森鉄道に変わっているため、三沢で途中下車する場合は別料金)、
盛岡、長野、宇都宮と7日間フル活用いたしました。



楽しかった休暇も終わり、ふだんの生活に戻りましたが、
次はどの寝台列車で何処を旅しようか、早くも考え始めております。

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